フライデーナイト銀行強盗は、誰も傷つけない銀行強盗としてアメリカで29年もの間50件以上の強盗を繰り返した単独犯の話です。29年間で得た金額は日本円にして2億円以上。
29年も強盗を続けて逮捕に至った経緯と、逮捕後 犯行を否認したカール・グゲイジャン(Carl Gugasian)容疑者(逮捕当時59歳)があっさり犯行を認めた理由、その生い立ちについてまとめて見ました。
アメリカ警察は頭を悩ませていました。1973年頃、とある銀行強盗を皮切りに、度々起きる類似する銀行強盗。
その共通点は
金曜日の閉店間際が狙われる。犯行時間はおよそ1分程度。
逃走の際の目撃情報なし。
調べるうちにわかった共通点は
日没が早い10月から4月
ペンシルバニアのラドナーの森に比較的近い銀行が狙われる
幾度か強盗が繰り返されるうち、人はその強盗のことを『フライデーナイト銀行強盗』と呼び始めます。
同時に、この銀行強盗では誰1人怪我人などが出ないので、人を傷つけない銀行強盗とも言われました。
カール・グゲイジャンは1947年ペンシルバニア州で移民の両親の元、貧しい家庭に育ち15歳で窃盗に手を出し捕まってしまいます。その窃盗で更生施設へ送られているので、空腹ゆえの犯罪レベルの窃盗ではなかった事が伺えます。
グゲジャンは更生施設で指導官に言われた「前科者はまともな職業に就けない」と言われた言葉が胸に刺さります。
そのため懸命に勉強したのかも知れませんし、もとより頭がいい方だったのかも知れません。高校生活は成績優秀な学生だったそうです。高校卒業後には電気工学の学士号を取得し、1971年に陸軍に入隊軍隊では戦術兵器と特殊部隊の訓練を受けています。その後、難関ペンシルベニア大学で統計学を学び、博士号を取得します。 一方、空手にも精を出し、身体能力、集中力も備えました。
強盗の際、誰も傷つけない精神は武道に精通していたからかも知れません。
統計学を巧みに利用し、まさに頭脳犯罪と強行強盗の二刀流・・・グゲジャンは完璧でした。彼の統計学を用いた計算能力で絶対捕まらない方法を出していましたから。ただ・・・誰しも全てを頭に叩き込むことはできません。もしくは自分の能力を記しておきたかったのかも知れませんね。平穏?な銀行強盗生活を送っていた28年目(2001年)のある日、ペンシルベニア州のラドナーの森で遊んでいた少年2人はコンクリートの排水溝の中に隠されたプラスチック製のパイプで作られた容器を見つけます。その中には銀行強盗にまつわる文書のようなものや詳細な地図、銃器の使用方法などが入っていました。少年たちはそれらを警察へ届けました。警察官たちが、少年が容器を見つけた場所を捜査すると、さらに多くの容器に拳銃が5丁に多数の弾薬。そして、ハロウイーンマスクが8枚発見されました。
振り返ること、26歳のグゲジャンは成績優秀ながらも、前科のせいでいい仕事が見つからなかったようです。そんなある日、グゲジャンは8万ドル(当時のレートで500万円ほどでしょうか)を盗んだ銀行強盗の記事を目にします。ふと、こんな風に思いました「これって、統計学を使ってやればもっと上手くいくのでは?」
そして指導官のあの言葉を思い出しました。「前科者はまともな職業に就けない」
統計的に銀行にもその周辺にも人通が著しく減る時間帯・・・金曜の銀行閉店間近。グゲジャンは銀行強盗に挑みます。読みは間違いありませんでした。
銀行内にいた職員と数名のお客さん以外の目撃情報は全くと行っていいほどなく、グゲジャンの銀行強盗は成功します。
銀行強盗を生業にしていてるグゲイジャンの普段の生活はどんな感じだったのでしょうか?29年間に盗み出した200万ドルは、ざっくり年収にすると6万9千ドルほど。近所の人は大きなバッグパックを持って走るグゲイジャンをよく見かけたそうです。普段のグゲイジャンはヨガや瞑想、旅行好きの男性で、他の人と同じように銀行にお金を預けるだけでなく納税もしています。
グゲイジャンの自称の職業は
自営業の統計コンサルタント
プロのギャンブラー
銀行強盗が普通に趣味に精を出し、銀行にお金を預ける。ヨガや瞑想で精神を落ち着かせるとともに集中力を高め、偽りの職業で生計を立ててると思い込ませるために自分すらも騙していたのかも知れませんね。
森で遊んでいた少年がたまたま見つけたフライデーナイト銀行強盗に係る人物が捨てたと思われる証拠品。その証拠品の中には空手のビデオテープもありました。そこで警察は近隣の空手同情をしらみつぶしにさ操作します。もちろんFBIによるプロファイリングで犯人の特徴の大枠は出来ていました。そこでグゲジャンの名前が上がります。押収した証拠品にはグゲジャンと一致する指紋も付着していましたが、状況証拠だけではグゲジャンを犯人とすることはできません。残された道はグゲジャンの供述に頼ることになりますが、グゲジャンは余裕で否認します。
ですが・・・フライデーナイト銀行強盗について聞かれたグゲジャンは以下のように答えます。
「大金を盗んでも誰1人傷つけていないなんて、なんて紳士的な人間なんだ・・・」
グゲジャンが犯行を否認したまま裁判の日を迎えました。捜査官たちは事前にフライデーナイト銀行強盗に居合わせたお客さんの証言を集めていました。現場に居合わせた人たちは口々にその時感じた恐怖を語ります。中にはいまだに銀行に行く事ができないという人間もいました。捜査官は、グゲジャンはフライデーナイト銀行強盗が誰も傷つけていないと、まるで自分のことのように誇らしげに話していた事だけが唯一の弱点と見て賭けに出たのです。捜査官は裁判に、銀行強盗に居合わせた人を証人として読んでいました。裁判では証人たちが、事件に居合わせた為に負ってしまった心の傷を口々に語りました。するとグゲジャンは「身体的には傷つけていないが、心に傷をつけてしまった・・・」と犯行を認めたのです。
捜査官たちは、グゲジャンが誰も傷つけなかったことを誇りに思っているとしたらそれは間違いで、本当は傷つけていたことを証拠として突きつけたのです。
グゲジャンの犯行はアメリカのFBIも驚くほどでした。「え?それもお前だったの・・・???」それはグゲジャンを捕まえた複数の銀行強盗を上回る数の犯行でした。被害総額も200万ドルにもおよび、まさか1人でそんなにかき集めていたとは全く思いもしなかったのです。そこでFBIはグゲジャンに司法取引を持ちかけました。その犯行の手口の一部始終を情報提供する見返りに刑を軽くすること。なんとグゲジャンの刑はこの司法取引により、禁錮115年だった刑期は17年に短縮されました。グゲジャンは刑務所にいる間、他の受刑者に数学を教えたりしていたそうです。模範囚ですね。そして、約束通り2017年69歳の時に釈放されたようです。
生きていたら現在75歳ですね。
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